僕の記憶の中にある「東住吉時間」。

鋭い眼光を持ちながら、時折り無邪気な笑顔を見せるダンディな男。
数多くのドラマ・映画の中で、強烈な個性と存在感を放つ唯一無二の俳優、北村一輝さんに、生まれ故郷・東住吉の思い出を語っていただきました。

街にあった映画館

レコード店に通った日々

僕の家は賑やかな駅前にありました。朝、学校へ行く時に隣の人や商店街の方々に「おはようございます!」ときちんと挨拶をしないと怒られてしまうような、良く言えば昭和の大阪らしい、人情味溢れるところでしたね。

よく訪れた場所は『長居公園』です。幼稚園の頃の散歩にはじまり、学校のマラソンなどの行事、ボーイスカウトの集会…。夏休みはプールに学校の子たちがみんないましたね。『自然史博物館』にも行きましたし、今だから言えますが植物園では柵を乗り越えてザリガニ釣りもしたりして、端から端まで知り尽くしていました。

部活で使うスポーツ用品や日常で着る服などは、東住吉で一番大きな商店街『駒川商店街』で買っていました。今は移転してしまったけれど『ボンハンバーガー』というハンバーガーショップが近くにあり、そこは今でも一番美味しいと思っています。

また、『タナベキネマ』という映画館に兄とよく行っていました。『スターウォーズ』などエンタメ作品も出てきた頃でしたが、兄は少し大人びていたので『ゴッドファーザー』や『ディア・ハンター』、『クレイマー、クレイマー』などの名作が好きでした。僕も背伸びして、そこについていっていた感じでしたね。それから、50・60年代の音楽が好きだった父親の影響もあり、西田辺にあったオールディーズ専門中古レコード店『フォーエバーレコード』にも通っていました。懐かしいな。

実家は引っ越してしまったのですが、友達が飲食店を営んでいるので、今もたまに東住吉を訪れることがあります。この間もレンタサイクルを借りて散策してみたのですが、駒川商店街の知っているお店は新しいお店に入れ替わっており、時代の移り変わりを感じました。夕焼けが見える場所や昭和の色や匂いがなくなっていくのは、少し寂しさも感じますが、新しい景色を見ることができるという楽しみもありますね。

人生は自分で切り開く

これからも挑戦を続けたい

人とは少し違う感覚を持っていたので、中学に入った頃から「早くここを出て世界を巡ってみたい」「俳優になりたい」という考えがありました。まずは一人になってみようと全寮制の高校に入り、海外に出た時も、役者を目指して東京に出た時も親には言わず、全て一人で決めました。僕は“自分で人生を作ってみたかった”のです。

20代は役者として恵まれた環境ではなかったので、無謀なこともしましたし、失敗を繰り返して思い通りにいかないこともありましたが、それがあっての今だと思っています。あの頃は50代で俳優をしている自分を想像することなどなかったけれど、客観的に見ても毎年何万人もの人が入ってきても活躍できるのはほんの一握りという芸能界において、自分は「よく頑張っている」と思います。そして、僕は周りにすごく恵まれています。自分の好きな仕事をすることができているのは本当にありがたいことです。20代の頃と今が違うこととしては、自分の芝居を上手くやることだけで結果は出せるものではない。作品はチームで作るものなので現場の空気感や監督の理想に近づけているかを考えながら仕事をするようになったことです。そして、昨年は『王様と私』でミュージカルにも初挑戦しましたが、これからも視野を広く持って、色々なことにチャレンジしていきたいと思っています。

2025年は、映画『室町無頼』の公開と1月期のTBS系日曜劇場『御上先生』から始まります。『御上先生』は、今まで日本のドラマでは取り上げる機会の少ない政治、文部科学省に立ち向かっていく物語です。今は何でもかんでも褒めてキレイごとだけを言わなくてはいけない。本当の想いが言えず、自分たちで自分の首を絞めているような世の中だと思っているんです。そういう意味でもちょっと新しいし、中身の濃いメッセージ性の高いドラマ。製作陣とワクワクしながら作っているので、期待して見ていただけたら嬉しいです。
北村 一輝 / 俳優

1969年7月17日生まれ、大阪市東住吉区出身。1999年公開の映画『皆月』、『日本黒社会 LEY LINES』で『キネマ旬報』日本映画新人男優賞、『ニフティ映画祭』助演男優賞などを受賞。2000年代に入ってからはドラマ『あなたの隣に誰かいる』や大河ドラマ『北条時宗』への出演を皮切りにテレビドラマの世界にも進出。以後、テレビ、映画、舞台で活躍。2025年、映画『室町無頼』(1月17日より全国ロードショー)、TBS系日曜劇場『御上先生』(日曜21:00~TBS系)に出演。
所属事務所『株式会社PANDA』

TBS系日曜劇場『御上先生』

文科省のエリート官僚(松坂桃李)が、新たに設けられた官僚派遣制度によって高校3年生の担任教師となり、令和の18歳と共に日本教育に蔓延る腐った権力へ立ち向かう、大逆転教育再生物語。北村さんは隣徳学院の理事長、古代真秀を演じている。

映画『室町無頼』

直木賞を受賞した垣根涼介の同名時代小説を大泉洋の主演で実写映画化した戦国アクション。日本で初めて武士階級として一揆を起こした蓮田兵衛と権力に立ち向かう無頼たちの戦いを描く。北村さんは足利義政に仕える有力大名、名和好臣を演じている。

Model:北村一輝 Stylist : Lim Lean Lee/Hair Make : 松本幸子/Photographer : 遠藤雅俊(スタジオD21)/Interview-Writer : 神島夕子
衣装クレジット ジャケット、シャツ、ネクタイ : J.PRESS ORIGINALS/パンツ : CINOH/シューズ : ADIEU
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